豊後服装lab.コラム

ファッションは暮らしに彩りをプラスするアートのひとつ。

コラムイメージ

アートのように、ファッションで日々の暮らしの中に華やぐ気持ちを作れたらな、と思います。

「アートと花と服」にはその通り、アートと花と服があるんですか?

そうなんです(笑)。店名の通り、「アート」と「花」と「服」を切り口にアート作品、ドライフラワーや観葉植物、ウェアとアクセサリー・雑貨は「アート ミーツ ファッション」というコンセプトの下、キャンバスに描かれたしっかり手の込められたアート作品と同じような感覚で楽しんでもらえるような、手作り感・一点モノ感のあるファッションをご提案しています。

アクセサリーはすべて作家さんによるハンドメイドにこだわり、お洋服は私たちと同じく、「手のぬくもりや作り手の想い」を大切にされているl’atelier du savon(アトリエ ドゥ サボン)さんというアパレルブランドさんのアイテムをお取り扱いしています。オリジナルの生地やアート性を感じるデザイン感度の高いラインナップが魅力のブランドさんです。もともと東京に住んでいた私ですが、手作業による「あたたかみ」や「クラフト感」があるものの良さをを伝えたい、という点でお店のコンセプトに共感するところがあり、オーナーからもお勧めして頂き、現在は店長としてこちらで接客や販売はもちろん、バイイングにあたっています。

アート作品はもちろん、「アート」×植物、お洋服という、お取り扱いはすべてアート性のある展開になっているとのことなのですが、その「アート」の部分では、どんなことを感じ取ってもらいたいですか?

アートと言っても、アートに込められたメッセージや存在意義は様々だと思います。そんな中でも私たちのお店が発信したい「アート」に込める願いというのは、肩肘を張らずにシンプルに「生活に華やぎを与えること」「手で作られたもののぬくもりを感じてもらう」ということです。

生活に取り入れるとなるととても敷居が高い作品というよりは、お家に置いてみた時に等身大の生活に調和し、それでいて一点一点がしっかりキャンバスに描かれ作られたもので、ペイントの質感や作り手の呼吸のようなものを感じられるような作品を取り扱っています。アート作品も洋服や雑貨を買うような感覚でお買い求めしやすいもの、というのが主です。

アパレルアイテムと合わせて植物も少し取り扱うお店は度々見かけるのですが、ここでは[アパレル・雑貨アイテム:植物=1:1]のくらいの割合でお取り扱いしているようですね。とっても珍しいです。

花はその造形自体がアートであり、人を幸せな気持ちにする力がありますよね。そんな、人の力に及ばない自然のアートとも言える植物も、お店のひとつの柱としてしっかりと据えています。植物ありきのお店づくりをしてみたい、というオーナーの思いもあり、まるで森の中にお店があるような雰囲気を作ってみています。お店の空間の真ん中にも、ご覧のとおりに観葉植物が置いてありますよね(笑)。もちろんアートなカテゴリーの一つとして植物を取り扱っているわけですが、決して“売り”のことを考えた空間ではなく、回遊性を考えると非効率なのは承知で、あくまでもお客様同士がファッションやアートのことで楽しく話し合えるような和やかな空間づくりの大切な要素として扱っています。ごく自然に会話が弾んでしまう場所ですよ(笑)。

昨今では商業施設にお店は集中し、買い回りはどんどん便利になっていると思います。もちろん集客のことを考えるととても効率的なことだな、と感じます。そんな中でも、場所はゆったりとした雰囲気の商店街の2階。この場所を選んだ理由や、選んで良かったな、と感じることはありますか?

均一化され、何か制約のある場所よりも、路面店ならではの独自の視点を十分に発揮できるお店づくりをしたいとオーナーが考え、この場所にしたんだそうです。
確かに集客に関しては路面店で展開することで、来店される方は相対的には減っているかもしれません。でも減っているのはあくまでも“たまたま”お店立ち寄ってくださる方で、興味を持って、ここを選んでご来店くださる方は圧倒的に増えていると思います。

お客様がお友達を連れて来てくださったり、私たちに会いに来てくださる方も。ここで出会ったお客さん同士が仲良くされている姿もよくお見かけします。

確かにこのお店では、店員さんとお客様、お客様同士でお話がとても盛んですね。さっきからよく、笑い声が聞こえます。

ここでは人と人との関係がとてもあたたかくて、濃厚なんです。例えば、私はすごく珍しく感じていることなのですが、このお店にはここで買って行かれたものを身に付けてきてくださる方が本当に多いんです。買ったお店のものを身に着けていくって、店員さんに気づかれることがなんだか気恥ずかしくて私はあまりやったことがなかったことなので、本当に驚きました。私たちとしてはそのことが会話のきっかけになり、お客様について更に深く知ることができる良い機会なので、本当にありがたいな、と思います。

「手作り感・一点モノ感」があるものをセレクトの主軸として行われているということなのですが、今は量産の時代で、スピーディーに安価に、ファッションを取り入れることが可能になっていますよね。そんな時代の流れから考えると、「逆流」しているような印象ですね。

効率化されて洗練させていく中で、淘汰され、「削ぎ落とされた部分」が必ずあると思うんですね。でもその「削ぎ落とされた部分」には、実はあたたかみを感じられることも、含まれていたんじゃないかと思うんです。そんな時代にあるからこそ、「失われたものを拾い上げる」お店づくりを展開することは、モノに対して何か考えを持つということに、改めてスポットを当てていくという意味では、意義のあることだと思っています。

器や竹細工など有名な民芸品もあってか、大分ってモノづくりやアートがとっても盛んな印象です。等身大の大分のアートシーンには、どんな印象がありますか?

新進気鋭の若手の作家さんたちが集まっていて、すごく活発だなという印象です。大分ではいま、「アートを盛り上げていこう」という活動は多く見られますよ。当店でも森山楓さんという若手のアーティストさんの作品やアートワークスを商品としても、お店のビジュアルとしても使わせていただいています。これからはそんな勢いのある大分で、陰ながらアートの発信地のひとつとして、アーティストさんとのイベントやワークショップも、どんどん広げていけたらと思います。

竹谷さんはこのお店のオープンと同時に東京からいらっしゃったそうですね。大分の印象はいかがですか?

九州自体に住むというのは、初めての出来事でした。大分はとても過ごしやすくて、なにより人が温かいと感じる場所です。人の良心的な部分がすごく強い方が多いな、と思います。こんな大分の方々に囲まれているからこそ、私たちのお店についても、すんなりと受け入れてくださっているのかもしれませんね。

どんなお洋服が好きですか?

「これが好き」というのが、思い浮かばないです。というのも、洋服は昔からすごく好きで、本当にいろんなジャンルの洋服を着てきたんですね。そんな中でも共通するテーマは、お店のコンセプトにも重なるんですが「あたたかみやクラフト感」が感じられるということ。懐かしい、レトロでアンティークなものが特に好きですね。

ファッションを意識したのは、いつ頃からでしたか?

物心がついたぐらいからでしょうか。でも地元にはおしゃれなお店がなかなかなくて、まだネットショッピングがこんなに主流でない時代に、小学校高学年くらいには洋服を通販カタログで取り寄せていたくらいです。

その後、社会人となり東京に出たわけですが、自分の着たい服に合わせるように、街を選んだと言っても、言い過ぎではないです(笑)。東京に出たばかりの頃は、当時流行っていた裏原宿に行ってみたり、セレクトの中でも地下の奥まったお店を探しては足を運んでみたり。いろんなファッションに挑戦してみていましたね。

ついつい買ってしまう、好きなアイテムはありますか?

オーバーオール、サロペット、オールインワンなどの肩紐の付いたアイテムは異常に好きです(笑)。あとはアンティークのレースモチーフのブラウスは生地に関わらず集めることが多いです。

どんな人がおしゃれだな、と思いますか?

自分らしさやテイストが確立されている人です。いろんなジャンルの方がいらっしゃいますが、ジャンル問わずにすごく心惹かれますし、刺激も受けます。自分らしさを理解して、それを十分に活かせている方は、やっぱり素敵ですね。あとは色合わせにセンスを感じる方で、例えばダークカラーのお洋服を着るときも必ず差し色を入れたり、色味のある方。私自身も色味のあるお洋服を着ることが多いので、そんな方を拝見しては、参考にさせて頂いています。

MY FASHION STORY

自分自身が納得のいくものや、お気に入りのものを身に着けていると、洋服から元気をもらうことはよくあるそう。「ファッションには、身に付けるアイテムが一つ違うだけでも、気分をガラリと変えてくれる不思議な力がある」と語ってくださった竹谷さん、当日はお気に入りのサロペットを使ったコーディネートを見せてくださいました。

「ファッションもアートと同じく、ただ着るだけで楽しくなったり、豊かな気持ちになったり。日々の暮らしに華やぎを与えるものであれば」と朗らかでゆったり声の“華”のある竹谷さんは、お店にある可愛らしいアイテムや花々と並ぶ、お店の“ディスプレイ”そのもののようでした。

インタビュー中も竹谷さんを求めて訪れるお客様もチラホラ、そのたびにあたたかい笑顔で迎える竹谷さん。迎えられたお客様を見てみると、やっぱりすごく笑顔でした。

竹谷 貴恵 YOSHIE TAKEYA

アートと花と服 店長
アートを切り口に、日常に華やぎを与えてくれるアパレル・雑貨アイテム、ボタニカルアイテムを取り扱うショップ「アートと花と服」にて店長を務める。全国のアーティスト・作家作品・アイテムのバイイングを行いながら、「アート ミーツ ファッション」な店作りを通して、日常に溶け込むフラットなアートを提案する。